[0198]測定データからの主応力の求め方

応力の測定は、1次元つまりある方向の応力ですが、主応力を求めるのは2次元、3次元の解析になります。

次元が上がることにより、全方向の応力が推定でき、当然ながら直接測定できない方向の応力も推定できます。

2次元検出器を使う cosα法は、応力とせん断応力が計算されます。

それで、2方向の測定により容易に主応力を図示できます。

また、平面応力場でない場合も測定方向を増やす事により誤差を低減できる場合があります。

モール応力円での主応力の求め方

3.応力をX 軸、せん断応力をY軸にして(σx,τxy)、(σy,-τyx)をプロット

4.(σx,τxy)と(σy,-τyx)を通る円を作成

5.せん断応力がゼロになる。円とX軸と2の交点σ1,σ2がそれぞれ最大主応力、最小主応力となる。

Q.なぜ主応力を使うのか?

A.主応力でない方向の応力を測定しても全体像がわからない。例 主応力がおよそ45度と 135度の場合

Q.なぜモールの応力円を使うのか?

A.完全に近い平面応力場であれば、他の方法も有効であるが。平面応力場でない場合は、モールの応力円以外では有効な主応力が求められない。

応力の状態が可視化される。平面応力場からのズレも可視化される。

モール応力円での解析事例 

複数の応力が重畳している場合

溶接以外の応力が小さい場合

最大主応力は、ほぼ溶接線直交方向 x方向

最小主応力は、ほぼ溶接線平行方向 y方向


溶接線近傍では、モール円が小さい。溶接線平行方向と直交方向応力が拮抗しており、せん断応力が比較的小さい。

溶接線から離れると、モール円が大きくなる。溶接線平行方向の応力がより大きく減衰して、せん断応力が比較的大きい。

溶接以外の応力の影響がある場合

測定不可の方向の応力を推定

実際に測定できるのは、−60°及び−120°です。

加工面は、右側がせん断面で左側が破断面になっています。


 応力の測定結果と0度方向の推定結果です。

破断面では、せん断面に比べて圧縮応力が抜けています。せん断面では圧縮応力は抜けていませんが、せん断応力が加わっています。これは現象とよく一致しています。




2023年3月16日登録

円筒形内部の周方向(写真の0°方向)は実際に測定できません。

そこで、モールの応力円で応力場を解析して0方向の応力を推定します。

実際に測定できるのは、−60°及び−120°です。