[0225]X線応力測定が困難な対象への当社のアプローチ

応力集中部分が測定できない:応力により不具合が発生する場所は、応力集中部が多いわけですが。平坦部分に応力が集中すのは溶接止端の母材側くらいで、その他はより複雑な形状で応力集中が起きます。平面を前提としたX線応力測定方法では誤差が発生します。このことは、50年前の材料学会の論文にも指摘されていますが、いまだに全てに解決策が示されていません。論文では、3次元曲面、切欠き底、隅部、曲率の大きい凸面 または凹面 小形リングの内面, ボールが指摘されています。他にも応力集中を緩和する面取りが行われたコーナ部分であったり、2,3面が交差するで狭わい部や曲面であったりします。バネ学会が線材の径と照射径の関係にガイドラインを出している以外は測定方法に関数情報がない。実際には、平面並みの精度が保証できなくても誤差の見積ができるだけで利用範囲が拡大すると考えられる。

1971年の材料学会のアンケート結果による、X線応力測定で測定が難しいポイントです。

長い間課題として残っていましたが、当社は、このうちのいくつかを改善いたしました。

① 3次元の曲面:当社が採用しております単一入社方式cosα法により入射角度の測定値への影響を軽減し精度を向上しました。

②細いワイヤー:微小部X線応力測定装置を使えば測定できますが、かなり高額であるため、簡易的に測定できる方法を開発しました。(手法非公開) 例φ 0.38mm 疲労試験の前後で応力および半価幅が変化することを確認しました。

③⑤隅部:コーナー部応力測定手法により測定、推定できるようになりました。【0053 測定例】 角部 コーナー部の応力測定 [0182] 絞り加工品のコーナー部応力測定 

④刃先:ノコギリの刃厚み0.9mmの断面内で応力測定が可能になりました。(手法非公開)

⑥リングの内側の応力:リング内側の周方向応力をモールの応力円の応用により推定できるようになりました。[0173]測定できない方向の応力を推定する。モールの応力円 

⑦歯車の接触部、底部:X線回折環の一部の解析により応力が計算できる場合があります。cosα法の特徴。また、金沢大学では、X線回折環の一部のからフーリエ解析で応力を推定する方法が開発されています。

原図引用:日本 にお け るX線 応 力測定 の現状  蒲 地 一 義  白 岩 俊 男  「材 料 」 第20巻 第219号 1971年