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半価幅の利用方法
塑性変形後の状態の確認
加工余裕 あとどのくらい加工できるかの推定
測定できない部分の硬度推定
読者ターゲット:
半価幅を知りたい。
x線応力測定で塑性変形の評価をしたい。
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X線残留応力測定センターは、鋼やアルミなどの材料に対して、安価で短納期の応力測定サービスを提供しています。相談無料です。お気軽に電話かメールで。
半価幅、「Full-Width at Half-Maximum(FWHM)」とは、回折強度曲線のピーク強度の半分の強度における回折強度曲線の幅を表す指標であり、単位は度で表されます。この指標は、転移密度、結晶粒サイズ、機器オフセットなどの要因に影響を受けます。
一般的に、転移密度が高くなるほど、結晶粒サイズが小さくなるほど、半価幅は大きくなります。
また、半価幅と硬さには相関関係があることが多いです。
半価幅で塑性変形の程度を推定することができます。したがって、あとどのくらいで破壊するかの予測も可能な場合があります。
半価幅の要因 半価幅の表すもの
X線プロファイルと半価幅の定義
鋼のX線回折
半価幅と硬さの相関図
回折強度曲線(X線プロファイル)は何か?
当社で使用しているCrクロム管球のX線とフェライト鋼の場合で説明しましょう。
X線(Cr Kα線 λ=2.29Å)をフェライト鋼に照射すると特定の角度にX線強いところが現れます。
X線回折現象
これがX線の回折現象です。ブラッグの式で表すことができます。
ブラッグの式は
2dsinθ=nλ
X線回折ではn=1なので
2dsinθ=λ
dは、格子面間隔[Å]
θはX線入射角度[度]
λはX線の波長[Å]です。
フェライト鋼は、無応力時
d=1.17Å
θ=78.2度
λ=2.29Å
でこの式が成立します。
ちょっと待って、フェライトBCCの原子間は、2.866Åと気づいた方その通りです。
d=1.17Åは、211面です。
鋼(フェライト)の格子面 (211)
鋼(フェライト)の格子面 (211)
話は逸れましたが。この半価幅は、加工や熱処理で変化します。
塑性加工による半価幅の増加
格子面間隔が全く同じであれば、ピークに幅はありません。つまり半価幅は、格子面間隔のばらつきを表しています。
例えば、材料にせん断応力が加わり、一部が塑性域に入ると結晶が滑り出して転移が入り、格子面間隔が広いものと狭いものが混在して半価幅が増加します。下図参照
塑性変形と半価幅
また、ひずみとり焼鈍を行うと途端に小さくなります。
また、加工ひずみの限界をある程度予測することができます。例えば、当社の機器を使った測定では、一般的な軟鋼で無加工 2.5度 最大加工時、4度程度です。[0109]半価幅による加工ひずみの評価を参照ください。当然X線の入射角度によっても違うので使いこなすためには、それなりのノウハウが必要があります。
穴広げ試験や引張試験で破断まで試験を行なった後に応力を測定すると高い応力が測定されない場合があります。確かに破断時には、試験機より高い荷重が試験体に付加されているのですが、試験機から離れると応力が再配分されて圧縮になってしまうことがあります。試験後の応力で破断の危険度を評価するのは難しいです。しかしながら半価幅には、高い応力が付加された痕跡が残っています。半価幅によりキレツが発生するまでの余裕を推定することができます。
写真2 引張試験による破断
まとめ この材料(SM490)で転移が入っていない状態で半価幅2.5度であり転移が入ると約4.0度で破壊する。破壊時の半価幅は、引張試験でも穴広げ試験でも約4.0度。しかし、この半価幅測定は難易度が高いです。原理をよくわかっていないと測定ができません。
参考文献
https://www.jstage.jst.go.jp/article/tetsutohagane/99/5/99_99_TETSU-2012-092/_pdf/-char/ja
関連ページ
<半価幅, {{転移密度,硬さ,結晶粒サイズ}>
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半価幅に含まれる情報に関するスライドを作りたいです。
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X線応力測定における「半価幅」に関するスライドは、以下のポイントを含めて構成すると効果的です。
半価幅の定義
基本概念:「半価幅(FWHM)」は、X線回折ピークの幅で、ピーク高さの半分における幅を示します。
物理的意味:結晶のサイズや欠陥の影響を受けるため、材料の微細構造の変化を反映しています。
半価幅と残留応力の関係
応力と変形の影響:応力によって結晶構造が変化し、それが半価幅に反映されます。圧縮や引張応力が結晶間隔や回折角度に影響を及ぼし、その結果、半価幅が変動します。
半価幅の測定と解析
測定手法:cosα法やd-sin²ψ法での測定が一般的。X線回折によって得られる半価幅から、結晶内応力や欠陥密度を推測可能です。
解析例:モールの応力円リバース法を用いて、応力分布を視覚化し、半価幅の変化を捉える方法が有効です。
応用例と実用的な価値
疲労や破壊予測:半価幅の変動を監視することで、応力集中部位の疲労損傷や破壊リスクの評価が可能。設計基準の見直しや材料の信頼性向上に役立ちます。
微細構造の解析:金属の表面処理(例:ショットピーニング)や熱処理の効果を評価し、材料の強度・耐久性向上に貢献します。
測定精度と課題
影響因子:結晶サイズ、組織の異常、加工履歴などが半価幅に影響するため、標準化された条件での測定が重要。
精度の向上策:複数方向の平均化やモールの応力円を利用した逆解析で、誤差を相殺し高精度の測定が可能。
タイトルスライド:「X線応力測定における半価幅の解析と応用」
スライド2:「半価幅とは」
スライド3:「半価幅と残留応力の関係性」
スライド4:「半価幅の測定方法」
スライド5:「応用事例(疲労予測や表面処理効果)」
スライド6:「測定精度向上の取り組み」
これにより、半価幅の意義とその実用的な価値を伝えるスライドが作成できます。
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結晶サイズ、組織の異常、加工履歴などが半価幅に影響する。この部分を詳しくお願いします。
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「半価幅」が示す物理的指標は、結晶材料の内部構造や履歴に深く関係しており、以下の要素が半価幅の幅に顕著に影響を与えます。
結晶サイズ(微細化効果):X線回折において、結晶のサイズが小さいほど回折ピークが広がりやすく、半価幅も大きくなります。これを「サイズ効果」と呼び、特に微細な結晶を持つ材料やナノ結晶では顕著です。
応力集中との関係:細かな結晶粒が多いと、粒界での応力集中が分散されやすくなります。このため、半価幅の拡大は疲労耐性の向上にも関与している可能性があります。
転位密度:転位(結晶格子のずれや欠陥)の密度が高くなると、回折ピークは広がり、半価幅が増大します。これにより、転位が多い組織や加工硬化の進んだ部分がある場合、半価幅の増加として測定されます。
結晶欠陥や組織変化の検出:冷間加工や溶接による局所的な組織の変化(例:析出物や応力誘起マルテンサイトの生成)は、回折線幅に影響し、半価幅の変化として現れることが多いです。
加工履歴の影響:鍛造、圧延、機械加工などの履歴がある場合、これらの加工により結晶内に欠陥や転位が蓄積され、内部応力が増加します。この結果、回折ピークが広がり、半価幅が拡大します。加工履歴に基づく半価幅の増減は、応力解析の一環として、材料の内部状態の把握に活用されます。
熱処理の影響:アニールや焼き入れなどの熱処理によって、結晶構造や内部応力が再配列・緩和されると、半価幅が減少する場合もあります。これにより、熱処理履歴の違いが半価幅の差異として測定され、加工プロセスの影響を評価する手がかりとなります。
製造工程の品質管理:半価幅の測定により、微細構造や加工状態の違いを非破壊で検出できるため、製品の品質管理や不良検出に役立ちます。例えば、ショットピーニング処理された部品では、半価幅が広がることが多く、これが加工が適切に施されている指標となります。
疲労損傷予測:疲労により材料内部の欠陥や転位が蓄積されるため、疲労の進行に伴って半価幅が変化します。この変化を追うことで、実使用環境下での材料の寿命予測やメンテナンス計画の策定に役立てられます。
これらの因子が、半価幅を通して微細構造や履歴情報として観察できるため、半価幅の測定は結晶材料の信頼性評価や残留応力管理において重要な役割を果たします。
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