[0196]せん断応力とは
せん断応力により応力の実体を測定する。20250903
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せん断応力により応力の実体を測定する。20250903
特殊な壊れ方? 破壊の方法? 通常の応力解析には必要ない?
でも教科書の1ページ目に戻ってみるとそんなことは書いてない。
pが応力の定義
断面Sの任意の点Oに働く応力pは、
σがS面に垂直に働く垂直応力と
τがS面内に働くせん断応力に、
分解される。したがって、せん断応力は、無視できない。(ex.せん断応力τ=0)
一般的に垂直応力を応力と呼んでいる。したがって、一般的に測定値の応力という場合は、測定面の垂直成分だけを言っている。
つまり、測定値の応力は、本当の応力ではなく、測定したい応力の垂直成分だけを示している。
p=σ だと誤解している人が多いが。
p=σなのは、τ=0の時だけ
垂直成分を応力として扱って良いのは、せん断応力=0 つまり、測定面が主応力方向の時だけである。
測定する角度(断面S)をαだけ回転させるとα方向の応力σαと直交するせん断応力ταが発生します。
つまりせん断応力は、(垂直)応力の見る角度を変えたもの。
応力σαとせん断応力ταの関係は、円になります。αを変化させたσαとταの軌跡がモールの応力円になります。
つまり、応力σαとせん断応力ταの関係は、cosとsinの関係なんです。
平面応力場における応力実体表現
xy2方向のσ垂直応力だけだと、投影 せん断応力を加えると応力テンソル=応力の実体となる。
応力の実体とは、
全部のデータを保有
他の角度の応力状態が計算できる。=座標変換に対して一定の変換則を持つ。
1.定義は、面に平行、面内の応力
2.せん断応力の追加で投影が実体になる
3.全角度の応力が計算、図示、推定できる
4.応力とせん断応力の位相差45度
5.主応力からのズレを表す
せん断応力の定義
応力テンソルに含まれる成分のうち、σx や σy はそれぞれ、面に垂直な正応力(normal stress)を表してい る。しかし、実際の材料や構造体の変形・破壊を正確に記述するためには、これらだけでは不十分である。な ぜなら、面に平行に働く応力、すなわち「せん断応力(shear stress)」を含んでいないからである。
■例:紙を破るときの破壊面 紙を両手で斜めに引っ張ると、紙は横方向に裂ける。これは「引張り」による 破壊ではなく、「面内の滑り」、すなわちせん断による破壊である。このとき働いているのは、まさに σxy のよ うな「面に平行な力」である。
応力の実体は、全角度の応力が計算、図示、推定できる
せん断応力を無視すると:
主応力の方向を誤る
応力の方向変化を見逃す
主応力の大きさを誤る
無視できるのは:
明確な単軸応力状態のみ(細い線など)
それも確認のうえで
φ0.4mmの細線では、長手方向がほぼ主応力
幅方向も応力ゼロで主応力なので長手方向の応力測定でOK
溶接部の応力も溶接線直線で板に残留応力がないと溶接線直交、平行の二方向測定でOK
止端線近傍では、XY方向の応力差が小さくせん断応力も小さくなりますが、止端線から離れるとXY方向の応力差が大きくなり、せん断応力も大きくなります。
応力とせん断応力は、独立ではなく従属の関係にあります。
打ち抜き加工した部分の応力を測定してみましょう。
せん断面では、せん断応力が大きくなっています。
破壊面では、応力が抜けて、せん断応力も小さくなっています。
[0250]せん断応力を応力解析で使おう