[0040]X線応力測定参考文献

X線残留応力測定センター info@stress.co.jp は、鋼とアルミを対象に安価かつ短納期の応力測定サービスをご提供しています。測定のご依頼をされるお客様に役に立つ本や論文をご紹介します。

  • 測定標準は以下です。当社の測定はこれらの2つの測定標準に準拠して行います。この2つが相違する場合は、当社の判断でどちらかを選択します。

測定標準 材料学会 JSMS-SD-14-20 cosα法によるX線応力法標準 -フェライト系鉄鋼編-

非破壊検査協会 NDIS 4404 cosα法によるX線応力測定通則

  • 教科書は以下の2冊です。

「残留応力のX線評価-基礎と応用- [養賢堂] 田中 啓介 (著), 秋庭 義明 (著), 鈴木 賢二 (著) [0001]」

「X線応力測定法 日本材料学会 田中 啓介 (著) [0002]」

X線回折法による材料品質の評価(P185-P210)は、この時代の関係者の熱い期待が感じられます。実用にものにならなかったものもありますが、高感度、高精細の半導体センサー( 現在開発中)によって再び脚光を浴びると予想しています。

5章のX線応力測定における留意点とその考え方は、測定の際にはいつも注意しています。当社の機材cosα法でも入射角度を変えて測定することにより広い範囲での2θーsin2ψ線図の作成が可能です。

2次元検出器を用いたcos α法によるX線応力測定 その1 測定の基礎」 田中 啓介66 巻 (2017) 7 号 p. 470-478 材料 [0003]

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jsms/66/7/66_470/_pdf/-char/ja

原理とsin2ψ法からcosα法までの進歩基礎理論が書いてあります。

2次元検出器を用いたcos α法によるX線応力測定 その2 測定の実際と応用」 田中 啓介66 巻 (2017) 7 号 p. 479-487 材料 [0003]

https://www.jstage.jst.go.jp/browse/jsms/66/7/_contents/-char/ja/

  • (1) 応力決定に無ひずみの回折角の精密測定を必要としない.

  • (2) cos α線図,sin α線図の傾きから垂直応力,せん断応 力が同時に測定可能である.また,線図の直線性から応力値の信頼性を評価できる.

  • (3) 単一入射であるため,光学系が簡単かつゴニオ走査 が不要である.測定装置の小型・軽量化が可能となる.また,空間の制限が少なく,狭隘部の測定に適する.

  • (4) 単一入射であるため,短時間測定が可能となる.

  • (5) 照射領域も一定で,微小領域の測定に適する.

  • (6) デバイ環から結晶粒径,配向性などの結晶に関する 情報が得られる.

  • (7) 光学系がピンホールコリメータであるために,X線照射領域が比較的狭くなり,結晶粒径が大きい場合 に,デバイ環が斑点状となり,応力測定が困難とな る.

    • 精度検証

  • 粗大結晶への応用 測定する結晶数を増やす

    • 揺動法

      • 多重度の大きい回折を使う方法

  • sin2ψ法に関する標準で参考にしています。

X線応力測定法標準 (1982年) 日本材料学会 [0004]」

  • 溶接部応力測定のガイドラインなら。

「溶接部残留応力測定小委員会:最終報告書 社団法人日本材料学会 [0005]」

  • 溶接部残留応力測定におけるガイドライン案が提示されています。

  • 日本の有名な研究、測定機関が集まってラウンドロビンテストを行っています。

  • しかしながら、条件のよいショットピーニングサンプルでも測定機関により±50MPaの誤差はあるので、精度に関して過度に期待することはできません。

  • 様々な状態が入り混じった溶接部はさらに測定機関により測定値の差が大きい傾向があります。ただ傾向(応力の分布)は各機関とも相似しています。

  • 後部には、これまでの溶接部残留応力評価に関する過去の研究調査結果があり興味深いです。

  • ショットピーニングならこの本 X線装置で有名なリガクの方が共著でありX線測定についてもきっちり記述があります。

「ショットピーニングの方法と効果 ショットピーニング技術協会編 日本工業新聞社 [0006]」

3.5 x線応力測定関係の記述が充実しています。デバイ環と粗大結晶粒、集合組織の例もあります。大手モーターメーカーの方に紹介して感謝されました。

  • 変形やゆがみの測定の前にはチェックします。

残留応力とゆがみ 須藤 一 [0007]」

  • 切削加工のデータなら 加工の応力の影響範囲は、最大400μmとあります。大体そうですが条件によっては、800μm位の場合もあります。しかし通常の切断なら50μmで影響はなくなります。

「大学講義 切削加工 竹山秀彦 [0008]」

  • cosα法に関するわかりやすい説明は

「小型・迅速・低コスト化が可能な二次元検出器方式のcosα法X線応力測定 (特集 残留応力の計測・検査技術 : 実務から応用)

Down-sizing, speeding-up and cost-reduction of X ray stress measurement using cosα method with a two-dimensional detector

佐々木 敏彦 [0009]」

検査技術 20(6), 42-51, 2015-06 日本工業出版 川崎の神奈川県立図書館にはあります。横浜には無いようです。

みてもよくわからない方は、当社のX線応力測定の原理を見てください。

  • 古典的名論文 sin2ψ法

The Influence of Multiaxial Stress States, Stress Gradients and Elastic Anisotropy on theEvaluation of (Residual) Stresses by X-rays by H.Dolle [0010]」

佐々木先生推薦の古典的名論文です。当時 2θーsin2ψは直線であると信じていた研究者に衝撃を与えた論文。曲がる原因を解説してあります。結晶学の式を駆使して実際の計算まで。翻訳に挑戦していますが、いつできることやら。注意:ヨーロッパなので正確には、dーsin2ψ です。

  • 溶接の疲労にはこの1冊

「溶接構造の疲労 一般社団法人 溶接学会溶接疲労強度研究委員会 産報出版 [0011]」

内容:溶接構造の疲労に関して網羅的に記述

7000円とお値段は張りますがいい本だとおもいました。残留応力が問題になるケースは、変形や熱処理等ありますが、やはり溶接部の疲労が一番の問題だとおもいます。その溶接構造の疲労に関して網羅的に記述してあります。しかし、残留応力の測定データがほとんど載っていません。このような本に残留応力の測定データが載るようにするのも当社の目標の1つです。例えば溶接の残留応力分布では、この本も含めて理論グラフだけで実例が載っていません。実際に測定すると溶接前の鋼板の残留応力や溶接時の高速の条件、溶接の順序等で残留応力は変わってしまいます。そんなデータもないと実験する人は悩んでしまいます。

  • 応力・ひずみ測定法のまとめ [0012]

http://www.st.nagasaki-u.ac.jp/ken/matsuda/research/JSPS-kakenhi/Scientific_ResearchB/2002-2004/chap-A.pdf

  • X線的弾性データベース [0013]

http://x-ray.ed.niigata-u.ac.jp/cgi-bin/xeview.cgi

  • ばねを測定の前にはチェックする。

「ばね及びばね鋼のX線残留応力測定法 X線によるばねの残留応力評価法研究委員会 [0014]」

X線コリメーター径を素線径の20%以下にすると誤差が10%以下になるとあります。コリメーター径と照射範囲は、X線の発生源、コリメーター、被測定物の位置関係で変わるので悩ましいところです。

  • X線回折に関してもっと基本的なことを調べるときには、

  • 専門外の人にもわかりやすい。

「 小栗泰造:残留応力とX線応力測定法 大阪府産業技術総合研究所報告 No22,2008 [0016]」

残留応力が機械物理的な特性に及ぼす影響、残留応力発生および緩和/低減、ならびにX線を用いた測定についてわかりやく解説してあります。

  • 熱処理と残留応力

「熱処理108つのポイント (テクニカブックス) 大和久 重雄 [0017]」

熱処理のメーカーの方に推薦されました。残留応力だけでなく熱処理の現場でのノウハウがぎっしりで実用的ではないでしょうか。

「鋼の熱処理と残留応力―三次元的測定とその解析 磯村良蔵 (著) [0018]」

データが多く載っています。大和久 重雄先生のノウハウをデータで確かめられたりします。

関連事項

X線応力測定の原理

応力だけでないX線回折環(デバイ‐シェラー環)の情報

質問と回答